悲鳴が、こだまする・・・。





―姉弟ゲンカ―





「ちょっ・・・姉ちゃんタンマっ!!!」
「待たないわよ。ミック、あなたは・・・許さない・・・。」



アイビーの周りを、霊たちが寄り添うように
取り囲んでいる。
その真ん中に、アイビーからの右ストレートを受けたミックが
尻餅をついて涙目で見上げるように見つめている。



アイビーは、その凍ったような表情を
一切変える事なく怯えるミックを見下ろしている。














事の起こりは30分前の事―――




「・・・あら?」




部屋のとある場所の前で、アイビーはその場に立ち尽くした。
おかしい。
消えてなくなっている。
昨日は、ちゃんとあったハズなのに・・・。





「ミック・・・?」



ポツリと呟くと、その周りに助けを求めるように
霊たちが集まってくる。
アイビーの周りに霊が集まってくるという事は、
少なからずともアイビーに怒りの色が見えたという事。





部屋の隅で自身の分身でもある剣の手入れに勤しんでいたミックは、
背後から殺気に近いものを感じ、身震いをする。


それと同時に、バンッと部屋のドアが開けられ
恐ろしい形相をしたアイビーが、背後に霊を引き連れ
迷う事なくミックの方へと歩みを進める。





「ね・・・姉ちゃん。どうしたんだよ、急に。」



ドアのノックもなく入ってくる時、
また、これほどまでの形相をしている時のアイビーは、
大抵が怒りに我を忘れている事が多い。



が、この時はまだ自我を保っていたらしい。



「ねぇ、ミック。私に何か言う事がないかしら?」
「言う事・・・?」





何の事を言われているのか、さっぱり分からないミックは
頚を傾げる。




「ミックでしょう。私の・・・アイス食べたの。」
「アイス・・・?あっ!」




アイビーに言われ、ミックは昨夜の事を思い出す。
何故か、無性に冷たい刺激が欲しくなったミックは、
アイビーの部屋にアイスクリームがあった事を思い出し、
アイビーに一言侘びを入れずに、もらって食べていたのだ。




「あぁ・・・ごめん、姉ちゃん。昨日の夜・・・。」
「食べたのね。私に何も言わずに・・・。」
「ごめんってば姉ちゃんっ!」
「ごめんで済むと思ってるの・・・?」





そう、言葉を放ったと同時に、ミックの左頬に、
激痛が走った。
そう、アイビーの右ストレートがキレイに決まったのだ。


ミックは、突然の衝撃に尻餅をつき、
左頬を押さえながら潤んだ瞳でアイビーを見上げる。



「ちょっ・・・姉ちゃんタンマっ!!!」
「待たないわよ。ミック、あなたは・・・許さない・・・。」
「うわぁぁぁぁ!」



ミックの悲鳴がこだました。
が、他の箱舟のメンバーはムヒョをどうしたら痛めつけられるか、
その話し合いのために近場には居なかったため、
悲鳴を聞きつけて助けに来てくれるメンバーは誰一人として居なかった。




いや、居たとしても、
あの状態のアイビーに勝てる者は居なかったかもしれない。



その後ミックは、一週間程アイビーの世話係りとして
雑用を押し付けられていたとか・・・いないとか・・・。













*****あとがきという名の言い訳*****


姉弟ゲンカ・・・。
実はこれ、マナティとその弟の実話を
すこーしだけ、入れてみました。
マナティ、霊集められないし(当たり前だろ)
弟、剣持ってないし(銃刀法違反で捕まっちゃうよ)



でも、たった一個のアイスだけでこんなに怒るなんて、
アイビーも食い意地張ってるな!(お前の妄想だろ)














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