「頼むよ、ロージィー!!!」



悲痛なまでの、ヨイチの叫び声が澄み渡った空に虚しくこだました。




―教えてよ―



穴が開いてしまうのでは・・・と、自分の体が心配になるくらいに
ヨイチの視線を全身に浴びているロージー。
気になりつつも、ムヒョから頼まれている書類を一つ一つ
落ち度のないように片付けていく。
外では、元気に走り回る子供達の笑い声が聞こえてくるが、
ロージーとヨイチの居る事務所の中は一雨来そうな時の、
嫌〜な天気のようにじっとりした雰囲気に包まれていた。
ロージーの頼みの綱であるムヒョは、前日の魔法律の疲れのため、
すやすやと寝息を立てて夢の中である。




どれ程の時間が経っただろうか。
ロージーの我慢もついに限界の頂点だった。



「あの・・・ヨイチさん・・・。」
「やっと教えてくれる気になったか?!」
「いや・・・それはダメですよ。」



ナメクジの様な目でロージーをみつめていたヨイチが、
パッと目を輝かせテーブルに伏していた顔を思い切りあげた。
その衝撃のためにつっぱった首筋の痛みと、
ロージーの返事とのWパンチに、ヨイチは一瞬輝かせた顔を歪ませる。



「だぁーっ、何でだよ!!」



ガックリと肩を落とし、右手で作った握りこぶしを
テーブルの上にたたきつける。




「ちょっ・・・ヨイチさんっ!ムヒョが起きちゃう・・・!」



繰り返しテーブルに握りこぶしをたたきつけるヨイチを、
ロージーはムヒョに目をやりながら必死で宥めようとする。
幸い、少し顔を顰めるのみで起きてしまう様な事はなく済んだが・・・。



「ちょちょちょいっで終わりジャン!」
「何を言われてもダメですってば!そんなに知りたければ・・・自分でどうぞ!」
「絶対教えてくれない・・・って、コレはどーゆー・・・。」
「自分でやって下さいよっ。」




困り果てた顔のロージーの手に持たれていたのは、メジャー。
ヨイチの顔面に突き出すようにして、ロージーはもう一度言う。



「自分で測って下さい。ムヒョの身長!」











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部屋の中は妙な空気に包まれていた。
ロージーは震える手をなんとか押さえようと必死になるが
どうしてもムヒョの上を通るメジャーは小刻みに震えてしまう。




「おいおい、ロージー。気をつけろよ!」



小声でヨイチが呟く。
ヨイチの巧みな誘導尋問に乗せられてしまったロージーは、
結局ヨイチの手伝いをするハメになってしまった。
自分の意思の弱さに、ロージーは泣きたい気持ちでいっぱいだった。
どうせムヒョにバレたら自分のせいにされる・・・。
そう思うと、ロージーはこの仕事を失敗する訳にはいかなかった。
成功したとしても、ムヒョのバレれば怒られるのは自分なのだが・・・。





「ふーむ。ナルホド・・・。」
「ヨォ。」




ロージー、ヨイチ、2人の動きが止まる。



「コレは何のマネだ?」
「ムヒョ・・・お早う・・・。」



ロージーがぎこちなく笑顔を作りムヒョの問いかけを無視し、
挨拶を交わそうとする。
もちろん、ムヒョはにんまりと笑い、
その視線をロージーから 離そうとはしてくれなかった。



「ヒッヒ。これが何か聞いてるンだぞ。」



顔の上を通っているメジャーを掴みムヒョはゆっくりと体を起こす。



「こっ・・・これはヨイチさんがどうしてもムヒョの身長知りたいって言うから・・・。」
「ばっ・・・ロージー!!」
「ほぉ。お前か、ヨイチ。」
「わぁぁ〜!!!ロージーのバカやろー!!!」



ムヒョのあまりに怖さに、ヨイチは半泣きの状態で
ポケットに忍ばせてあった魔方陣を出し、
どこかへと消えて行ってしまった。




「チッ。ヨイチの奴・・・。」



舌打ちをし、クルリとロージーを振り返る。




「オメェも同罪だゾ。」
「えぇー?!」








「あははっ。面白い、いい画が撮れたよー。ロージー君っ。」





騒動の一部始終を部屋の外で観察していたナナは、
笑いが堪え切れず、カメラを見せびらかせながら
思わず部屋の中へ入って行く。





「えっ・・・ナナちゃ・・・?!いい画ってまさか・・・。」
「どうやら、そのまさか、らしいな。ヒッヒ。」
「うわぁーんっそれだけはー!!!」
「おほほほほー♪」






涙目になりながらナナからカメラを奪おうと
奮闘するロージー。
それを面白がって余裕で逃げ回るナナ。

そんな2人を見ながら、
ムヒョはフッと笑い、また布団の中へと潜り込んだのだった。















*****言い訳*****
久しぶりの更新になってしまって、すみません。
色々、構想は浮かんでたんですが・・・。
書き起こす気になれなくて(汗)
でも、年賀状効果って、すごいですね!(笑)
ここまで出来てしまうんだもん。
きっと、西先生も気付いてたんでしょうねー(違)















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