「・・・この・・・カスが!!!」





―友情の芽生え―





「ひどいでやんす、ひどいでやんすよ〜」



さめざめとロージーの膝に頭をこすりつけながら泣きじゃくる七面犬。


ドアをノックする音に気付き、開けたと同時に膝に抱きつかれ
不意を付かれたロージーは、何が何だか分からない、と言った顔をしたまま
七面犬を見下ろす事しか出来ない。




ドアを閉めようにも、七面犬に抱きつかれた拍子に尻餅をつき、
更にそこから微動だにせずにくっついている七面犬を
離す事も出来ず、動こうにも身動きが取れずにドアは開きっぱなしだ。



かれこれ、1時間程が経っている。
他の階の人物に迷惑だ、とは思っているものの、
今のロージーには、理由が分からず七面犬を宥める事すら出来ない状態なのだ。
しかも、この1時間。七面犬の発する言葉は
「ひどいでやんす。」「ムヒョ殿のバカ〜」
と言った言葉ばかり。ムヒョと何かあったのはそこから読み取れたが、
質問を問いかけようとするとそれを拒むように
大声で泣きじゃくるのだ。
その七つの目から零れる涙の量は、ハンパではなかった。



30分程前に事務所に遊びに来たナナとケンジも、七面犬に驚き、
「邪魔しちゃったね・・・。」
とロージーに不憫そうな視線を投げかけ、そのまま帰って行ってしまった。





唯一の救いは、七面犬の不満の相手、ムヒョが
今日は珍しく1人で出掛けている、という事だけ。






「ね・・・ねぇ。そろそろ何があったのか、教えてもらってもいいかなぁ?」




やっと落ち着きそうだ、という雰囲気を感じたところで、
ロージーは恐る恐る七面犬に話を切り出してみた。



「おぉ〜草野殿っ。聞いて下さい。ムヒョ殿といったら・・・。」




七面犬は、まだグスッとしながらも、
ムヒョに対する不満を身振り手振りを使い、ロージーに詳しく説明する。



どうやら、今日ムヒョと一緒に仕事をした際に、
ヘマをしてしまい、こっぴどく叱られたらしく、
「カス」と言われた事に対して不満に思ったらしく、
泣ける程にまで悔しかった、というのだ。




「なぁんだ・・・僕だっていっつも言われてるよぉ。」
「ムヒョ殿にとってあっしはただの地獄の使いかもしれませんけどねっ!あっしにしてみれば、大事な人なんすよっ!」
「うーん・・・まぁ、ムヒョってさ、たまに口が悪かったりするでしょ?僕もねぇ・・・。」




ロージーは、魔法律書を勝手に触ってしまい、
ムヒョに怒られケンカをした時の事を思い出し、七面犬に言って聞かせた。





「あの時は僕も頭に来たけど・・・よくよく考えれば、全部僕のためだったんだよね。」
「そう思えているうちは幸せでいいでやんすよね。」
「なっ・・・七面犬、最近性格出てきたよね。」
「いやいやっでも、笑い方を3回しくじっただけでカスと言われるのは腑に落ちないでやんすよ!」






七面犬は鼻息を粗くしてロージーに食って掛かろうとする。





「えっ3回間違えただけで!?それは酷いよ!」





これ以上否定を続ければ、
自分が攻撃されかねないことを察知したロージーは、
七面犬に話を合わせてみることにした。





「おぉ!草野殿っ分かってくださるかっ!!」
「う・・・うん!酷いよ、それっ!誰にだって失敗はあるさ!」
「そうでやんすよねっ!!!ムヒョ殿は・・・冷酷すぎるでやんす!」
「そうそう!もうちょっと、物腰が柔らかくなってもいいと思う!」
「あっしらだって、地獄で忙しく働いてる中、呼ばれたらすぐに来てるってのに!」
「そりゃ執行人は偉いかもだけど、もっと相方を大切にするべきだよ!!!」
「ヒッヒ。そうか、お前ら、いっつもこうやって俺の悪口を言ってたんだナ?」
「?!?!?!?!?!?!?!」




いつの間にかヒートアップしていたムヒョに対する不満は、
当の本人の帰宅に伴い全て把握されていた。
いきなり聞こえてきた声に、後ろを振り返る七面犬と
覗き込むようにドアから身を乗り出すロージー。




そこには、紛れもなく怒りのオーラを纏ったムヒョが
不敵な笑みを浮かべながら佇んでいた。




一瞬にして、背筋が凍るのを二人とも感じた。
このままでは・・・ヤバい。
そう、直感したのはロージーの方が早かった。






「おっ・・・お帰り、ムヒョ!早かったんだねぇ。今、七面犬も帰ってきて、お土産話聞かせてもらってたんだ!」
「ほぉう。俺への不満話がお土産か?」





ムヒョに睨まれ、ロージーは最早これまで、とその大きな体を小さくまるめこむ。



「む・・・ムヒョ殿っ!これはあっしが全部悪いんでやんす!草野殿は決して・・・!」
「ヒッヒ。オメェはもういい、帰れ。」
「はっ・・・はいでやんす。」





プルプルと震えながら、
七面犬はムヒョに言われた通り地獄へと帰って行った。
1人残されたロージーは、というと・・・。







「おぃ、ロージー。もっとしっかりやれヨ。」
「うわぁぁん。ムヒョ、僕もう疲れたよぉ〜。」






ムヒョの一日の疲れを取るべく、
全身のマッサージを隈なくやらされ、
次の日にはぐったりとして仕事に身が入らず、
更にムヒョからのお怒りを買う羽目になってしまった・・・。
















*****あとがきという名の言い訳*****

七面犬とロージーに、友情が芽生えたら面白そう。
という思いつきから書いてみましたが。
あんま面白くn・・・(自主規制)


まだまだネタは幾つかありますので・・・。
気が向いたら(ぇ)
ちょこちょことアップしていきます。





















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