円サマの一日<It is Tiki to write.> 〜evening〜 雨が、止んだ。 外では秋の始まりを告げる風が、 心地良く吹き抜けている。 「・・・ティキ。これ、もう少し詳しく書いておいてよ。」 エンチューは少し不機嫌だった。 昼間、雨が降っていたために、部屋の中でミックと鬼ごっこをしていた。 それが、あろう事か、エンチューが雨漏りの上で滑り 転んでしまい、ミックに勝ちを譲ってしまったのだ。 負けず嫌いなところがあるエンチューにとって、 自分の不注意で負けてしまったのが途轍もなく悔しかった。 そのお陰で、ティキにとばっちりがきているのだが、 ティキは逆にそれを楽しんでいた。 エンチューがこんなにも素直に自分に感情をぶつけてくる事が、 嬉しくて仕方ないのだ。 「ハい、申し訳ありません、円サマ。今すぐ書き加えます。」 「ムヒョがどれだけ苦しんだか、もっともっときちんと書いてくれないと。」 左頬から首筋にかけて、またあの傷跡が浮かんでくる。 どうやら、興奮したりすると無意識のうちに 浮き上がってくるらしい。 ティキは、エンチューから報告書を受け取ると、 自分の服の中へ仕舞い、時計に目をやり夕食作りを始める事にした。 今日は、市場から奪ってきた秋刀魚がある。 それを焼き、摩り下ろした大根を添え、一品は完成である。 もう一品は・・・。 ―そうダ。 昨日、ムヒョたちを攻め立てた時に 森に入り、ふと目に入った栗を拾ってきていたのを思い出す。 「栗ゴ飯・・・いいナ。」 *************************************************************************** 「マドカ様。夕飯が出来上ガリましタ。」 「・・・そう。」 イスに腰掛け、報告書やら魔法律書やらを読んでいたエンチューは、 顔をあげる事なくティキにそう返事をすると、 それまで読んでいた本を閉じる。 「どうゾ。」 テーブルの上に品物を並べ、ティキはそっと、その場を離れようとする。 「・・・ティキも一緒に食べようよ。1人は寂しいから。」 思わぬ声をかけられた。 「?!」 ティキは驚き、勢いよくエンチューを振り返る。 そこにあったのは、エンチューの笑顔。 「ごめん、ティキに当たってても仕方ないのにね。」 「イイえ、円サマ。」 ティキは、エンチューの座っている前へと戻り、 エンチューが美味しそうに食べる姿を見つめる。 ―明日モいい日になりソウダ。 そう、心の奥で思いながら・・・。 *****あとがきという名の言い訳***** はいっ。 完成です。 一応、これで完成です。 多分その内気に入らない部分を 直すと思いますが・・・。 当分、直しません(ぇ)。 だって・・・もう考えられない(コラ)。 戻
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