円サマの一日<It is Tiki to write.>
〜evening〜




雨が、止んだ。

外では秋の始まりを告げる風が、
心地良く吹き抜けている。




「・・・ティキ。これ、もう少し詳しく書いておいてよ。」




エンチューは少し不機嫌だった。




昼間、雨が降っていたために、部屋の中でミックと鬼ごっこをしていた。
それが、あろう事か、エンチューが雨漏りの上で滑り
転んでしまい、ミックに勝ちを譲ってしまったのだ。
負けず嫌いなところがあるエンチューにとって、
自分の不注意で負けてしまったのが途轍もなく悔しかった。


そのお陰で、ティキにとばっちりがきているのだが、
ティキは逆にそれを楽しんでいた。


エンチューがこんなにも素直に自分に感情をぶつけてくる事が、
嬉しくて仕方ないのだ。






「ハい、申し訳ありません、円サマ。今すぐ書き加えます。」
「ムヒョがどれだけ苦しんだか、もっともっときちんと書いてくれないと。」




左頬から首筋にかけて、またあの傷跡が浮かんでくる。
どうやら、興奮したりすると無意識のうちに
浮き上がってくるらしい。






ティキは、エンチューから報告書を受け取ると、
自分の服の中へ仕舞い、時計に目をやり夕食作りを始める事にした。




今日は、市場から奪ってきた秋刀魚がある。
それを焼き、摩り下ろした大根を添え、一品は完成である。 もう一品は・・・。




―そうダ。




昨日、ムヒョたちを攻め立てた時に
森に入り、ふと目に入った栗を拾ってきていたのを思い出す。




「栗ゴ飯・・・いいナ。」









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「マドカ様。夕飯が出来上ガリましタ。」
「・・・そう。」





イスに腰掛け、報告書やら魔法律書やらを読んでいたエンチューは、
顔をあげる事なくティキにそう返事をすると、
それまで読んでいた本を閉じる。




「どうゾ。」



テーブルの上に品物を並べ、ティキはそっと、その場を離れようとする。




「・・・ティキも一緒に食べようよ。1人は寂しいから。」





思わぬ声をかけられた。




「?!」




ティキは驚き、勢いよくエンチューを振り返る。
そこにあったのは、エンチューの笑顔。




「ごめん、ティキに当たってても仕方ないのにね。」
「イイえ、円サマ。」




ティキは、エンチューの座っている前へと戻り、
エンチューが美味しそうに食べる姿を見つめる。




―明日モいい日になりソウダ。



そう、心の奥で思いながら・・・。









*****あとがきという名の言い訳*****

はいっ。
完成です。
一応、これで完成です。



多分その内気に入らない部分を
直すと思いますが・・・。
当分、直しません(ぇ)。



だって・・・もう考えられない(コラ)。












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