―ボスタフ闘争記―



<黒崎家>

トコトコ、と規則正しく歩く足音が廊下に響き渡る。
夕方4時。

この時間になると、それまでは静かだったこの家に、
1人の人間が外から帰ってきて洗濯物を取り込んだり等、
所謂主婦業をこなしている。


その彼女の足音が廊下に響き渡る足音が聞こえた途端、
一護の部屋で堂々と朽木ルキアのブロマイド(恋次に頼み込んで盗撮してもらった)を眺めていたコンは、
ブルッと身震いをした。



「アイツが帰ってきた・・・!」



急いでルキアのブロマイドを所定の場所(勿論一護は知らない)へ戻すと、
コンは必死になって隠れる場所を探した。
一番最初に目についたのは、押入れ。
しかし、そこは先週隠れていて不運にも見つかってしまった場所。
次に、ベッド。
掛け布団の中に潜り込めば・・・。
が、いつも取り込んだ洗濯物を書く部屋に仕舞う際、
乱れていればキレイに整えるため、下手すれば見つかってしまう。
しかも、一護の事だ。
今朝も起きて5分で家を出る、という技をやって見せたので布団はめちゃくちゃだ。


そうこうしている最中も、足音は止まる事なく部屋へと近付いてくる。


「えぇ〜い、こうなったらっ!!!」





カチャリ、とドアノブが回り扉が開かれた。
そこから顔を覗かせたのは、遊子。
その表情は何かを期待していた。


「お兄ちゃん、ボスタフどこにやったのかなぁ〜。」


洗濯物を片手に、部屋の中へ入るとドアを閉める。
タンスの中へ洋服等を仕舞い込むと、部屋の中を見渡す。


「ボスタフー。出ておいでー。」


ゆっくりと部屋の中を歩き回る遊子。
何度自分の部屋へとボスタフ(コン)を持ち帰っても、すぐに一護の部屋へと戻ってしまっている。
一護が取り返しているのか?
そう考えると、遊子は楽しくなる。
まるで、兄と遊んでもらっているかのような気持ちになるからだ。


また、いくらボスタフを白いレースの着いた布であしらってみても
すぐにまたライオンの形に戻されている。


遊子には、それが少し嫌だった。



「あの方が可愛いから、またやってあげたいのにぃ〜・・・。」



唯一の不満は、それだけだった。
またあのレースを着けてフワフワさせたいのだ。
よく家に出入りしている朽木ルキアにも、あのレースだけは褒められた。


「先週は押入れだったから〜・・・今日はないかなぁ。」



コンにしてみれば計算外。
絶対に見つかるだろうと思っていた押入れは、
そんな簡単な理由でこうもあっけなくスルーされるとは・・・。
こんな事なら、素直に押入れに入っておけばよかった、と後悔したがもう遅い。

鼓動は高鳴るばかりだった。
いつもだったら開け放たれているハズの部屋のドアも、
遊子の手によって閉められていたために外へも出ていけない。


そして何より、もうコンにこの体勢は厳しかった。

《クゥ〜・・・もう・・・腕が・・・でも・・・っ!》


コンはもう、気合だけでその場に居た。
ここなら、絶対に見つからない。
そう、確信があった。

・・・あったのに。




「あっ!」


遊子が欠伸をしながら腕を上に押し上げるように伸びをした時だった。
目が合ってしまった。
バカな・・・。絶対に見つからない自信があったのに!!



「ボスタフ見つけたけど・・・。あそこじゃ手が届かないなぁ。」



遊子が見ていたのは、部屋の隅。
それも、下ではなく上だった。

コンを見つめ、何かを考えている遊子。



「ダメだ。届かないよ。」


諦めたように溜息をつき、遊子は肩をガックリと落とし、
部屋を出て行った。




「よっ・・・よしっ。行った・・・な。」



コンは小さく呟くと、ベッドの上へとポスン、と軽い音を立てて落ちた。



「あーっ。落ちたっ!」


ベッドへ着地(?)したのと同時に、さっき出たハズの遊子の声が聞こえる。



「つっかまっえたぁ〜♪よぉし、またレースつけてあげるからねーっ。」



コンの腕を掴むと、グルグルと回しながら嬉しそうな表情で一護の部屋を後にする。

《ひぇぇ〜・・・助けてくれぇ〜!!!ルキア姉さぁ〜ん》



遊子の前では徹底的に人形にならなければならず、
コンはこの日も遊子の手によって、
フリフリレースをあしらわれ、一護に笑われたのでした・・・。







*****あとがきという名の言い訳*****

大して面白くないな、これ。


しばらく公開した後、
お部屋移します。



こんな駄文をここまで読んで下さり、ありがとうございました☆





















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